テーブルウェアとして使える漆器。伝統と現代技術が融合した器は、未来に向けて暮らしを豊かにアップデートする。
パスタ皿・箔舞9,000円(税別)
「芸術品は丁寧に扱わなければならない」。そんな常識を覆す作家がいる。
紀州漆器の一大産地として400念の歴史を持つ海南市黒江。その一角に彼の工房はある。中には「やはり伝統工芸は敷居が高い」とさえ思えてしまう美しい漆器が並ぶが、工房の主である藤井嘉彦さんがそんなイメージを変えてくれる。
「漆器はナイフやフォークで傷がつくので、あまりに大事に使われてテーブルウェアとしては使ってもらえないことが押印です。でもね、そんなの悔しいじゃないですか」。
漆器は一般的に木を材にするが、藤井さんが扱うのはガラスだ。
透明なガラスの裏面に漆塗りを施すことにより、漆の豊かな表現力をそのまま生かすことができ、ナイフやフォークを使っても傷つかない。さらに独自の塗装を重ねることにより食洗機にも対応させた。美しさだけでなく実用性に拘った漆器は大手有名ホテルのレストランでも”食器”として使用されている。
藤井さんは「職人」という枠を外し、デザイン・製造からブランディングまでのすべてをこなす。ここ黒江で新たな漆器を作る理由は、ただひとつだ。「これからの若い人たちに、黒江で暮らす道を残してあげたいんです」。だから、藤井さんは『未来の漆器』を作る。これが生まれ育った黒江への恩返しだからと、迷いなく笑って。
社名:塗り工房 ふじい
住所:海南市名高532-4
電話番号:073-483-0323
営業時間:9:30~17:00
定休日:土日祝
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